生活科学研究科 居住環境学分野

大阪公立大学 都市科学研究室

Urban Science Laboratory, Osaka Metropolitan University

●ミッション

都市科学研究室は、「生活」という切り口から、人口減少に伴う都市問題に対して、都市計画・まちづくりの観点から研究しています。日本は、これから50年ほどの間、急速な人口減少を迎えると言われています。その中で大阪都市圏(Osaka Metropolitan Area)は、都市圏スケールで人口減少が始まっている、世界的にも先進的な事例です。


そこで、都市科学研究室のミッションは、人口減少に伴う都市問題を抱えるフィールドに対して、都市計画に関する研究を通して、貢献することです。そのアプローチとして、フィールドのステークホルダー(行政・住民組織・企業など)の方々と共に、空間情報科学環境行動科学の観点から、実践的に研究・デザインを行います。

研究内容

都市科学研究室が取り組む人口減少に伴う都市問題は、「豊かな衰退」と「不都合な再生」です。我々は、これら2つの問題に関して、大学という立場だからこそ、中長期的な視点に立ち、取り組む必要がある都市問題だと考えています。前者の「豊かな衰退」に関して、日本における多くの自治体が経験しているのは、少子高齢化に伴う人口減少です。そして、その人口減少は、不可避であることが特徴です。したがって、我々は、人口減少を悲観視するのではなく、その人口減少に至る「豊かさ」を探求する必要があると考えます。

その一方で、後者の「不都合な再生」に関して、人口減少都市の一部は、都市再生に至る事例が、少なからず報告されています。その一方で、都市再生が過剰に至り、「不都合な再生」へ至る事例が多いことにも注意する必要があります。我々は、「不都合な再生」を通して、「豊かな衰退」の在り方を探求することができると考えています。

 

しかし、人口減少に伴う「衰退」と「再生」とは、人口や経済性の観点のみで評価できるものでしょうか?さらに、その衰退と再生に伴う「豊かさ」や「不都合さ」とは、誰にとってのものなのでしょうか?都市が多様性を包摂するように、その問いに対する答えも多様で、決して画一的ではありません。学生の皆さん自身の感性から導かれる答えもあるでしょう。我々は、フィールドのステークホルダーの方々と共に、実践的に研究・デザインをしながら、その答えを探求しています。

メンバー

・加登 遼 (PI)

・佐久間 綾音

・中島 壮汰

・脇坂 桜也菜

(2024年度前期)

●研究パートナー

 都市科学研究室は、大阪都市圏の中でも、以下の研究フィールドのパートナーの方々と共に、研究を進めています。

茨木市山手台

堺市泉北ニュータウン

京都市修徳学区

デザインプロジェクト

3回生後期のラボ配属後は、いくつかのフィールドでの研究プロジェクトに関わってもらう機会を設けて、自分の興味のある内容を探ってもらいます。都市科学研究室は、少人数教育を基本に、対話を重視しています。なお、都市科学研究室におけるデザインプロジェクトとは、建築の設計だけでなく、まちづくりなども含む広義のデザインです。都市科学研究室は、研究フィールドのパートナーの方々と共に、以下のデザインプロジェクトに取り組んできました。

研究

卒業論文は、プロジェクトに関わってもらいながら、対話の中で皆さん自身の個性をいかしたテーマを決めて頂き、それをサポートしています。その成果は、各研究プロジェクトのフィールドに還元すると同時に、国際誌に掲載させて、社会に貢献できる人材として成長してもらいます。


2023年度卒

Increase of Households Through Closed Accommodations Due to the Covid-19 Pandemic in the Historical Center of Kyoto City

論文http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4610751

(※現在、査読中)

Mental Health and Parent‒Child Residential Distance for Older People: Cross-Sectional Study Using a Comprehensive Survey of Living Conditions

論文https://doi.org/10.3390/su16051715

広報https://www.omu.ac.jp/life/info/news/entry-10267.html

Housing Affordability Risk and Tourism Gentrification in Kyoto City

論文https://doi.org/10.3390/su16010309

広報https://www.omu.ac.jp/life/info/news/entry-10026.html

2022年度卒

Why Did Urban Exodus Occur during the COVID-19 Pandemic from the Perspective of Residential Preference of Each Type of Household? Case of Japanese Metropolitan Areas

論文https://doi.org/10.3390/su15043315

広報https://www.omu.ac.jp/life/info/news/entry-04650.html

Population Decline and Urban Transformation by Tourism Gentrification in Kyoto City

論文https://doi.org/10.3390/su15032247

広報https://www.omu.ac.jp/life/info/news/entry-04636.html

2021年度卒

Housing Affordability of Private Rental Apartments According to Room Type in Osaka Prefecture

論文:https://doi.org/10.3390/su14127433

広報https://www.omu.ac.jp/life/info/news/entry-01383.html


研究室活動

都市科学研究室は、少人数教育を前提に、プロジェクト・ベースド・ラーニングを中心として研究教育を行います。決まった方針など無く、各メンバーの個性に合わせた指導を行っています。ラボとしては、毎週決まった日時に、全員が集まる研究室会議と、デザインプロジェクトや卒業研究ごとに打合せを行いながら、適切な習慣を身に着けてもらいます。また、ラボ全体の進捗状況に合わせて勉強会を行います。その他、プロジェクトに応じて、他大学の研究室や企業、行政などと、共同で研究を行う場合もあります。


なお、研究室で実施する勉強会には、以下があります。勉強会は、必要なタイミングで、適時、実施します。主に、研究が本格的にスタートする4回生前期に、必要なコンテンツを提供することが多いです。この勉強会は、研究室外にも広く開いて実施しています。

・アカデミックライティング勉強会

・データサイエンス勉強会

・GIS勉強会

・フィールドワーク勉強会


 都市科学研究室は、コアタイム制を設けていません。研究室に閉じこもるより、研究フィールドに行くことを推奨しています。フィールドでは、何気ない会話や、何気ない日常風景の中から、多くのことを学ぶことができます。

 また、都市科学研究室の特徴は、学部の卒業論文で、修士卒レベル以上のアウトプットを出してもらうことにあります。そのため、濃密な1年半を過ごして頂くことになります。 

オフィスアワー

都市科学研究室に興味のある学生は、学年を問わず、お気軽に部屋(杉本キャンパス・生活科学部棟S314)までお越し下さい。オフィスアワーは、水曜日の昼休みです。事前に連絡して頂けると、確実に部屋にいます。


住所: 〒558-8585,大阪府大阪市住吉区杉本3-3-138 生活科学部棟 S314

教員

名前

 加登 遼 (Haruka Kato)

専門

都市計画(Urban Planning)/まちづくり/都市解析(Urban Data Science)

研究情報

Research Map (日本語中心)

Web Page(研究内容中心)

担当授業(2024年度)

・図形科学 (1回生後期:分担,AutoCAD担当)

・建築情報学 (2回生前期:分担,Rhinoceros担当

・建築計画学 (3回生前期:分担,環境行動科学担当

・居住空間情報学系特論 (大学院修士前期:分担)

・設計プロジェクト・マネジメント論 (大学院修士通年:分担、泉北ニュータウンでのデザインプロジェクト担当) 

連絡先

haruka-kato[at]omu.ac.jp